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改めるようにオンブズマンの権限で勧告をする、その勧告については市はこれを遵守する義務があるということが条例に明記されている。条例上、オンブズマンの立場は市の行政からは全く独立のものとして身分保障が行われている。

任期は3年、1期に限って再任ができるということで6年が限度、あまり長期化すると弊害が出てくるいうことで任期が限られている。市に関係のある企業の幹部であるとか議員であるとかそういった人は就任できない、全くの独立の民間人を基本として選ぶという建前になっている。そういった制度的な担保方法が採られたわけであるが、さらにこれを監視する、すなわち、オンブズマンが独立性を守って真面目に調査をしているかどうか、オンブズマンの行った是正勧告を本当に市長が守るかどうかという面のチェック機能として、オンブズマンの行った勧告の内容あるいは1年間の活動の状況を市民に必ず公表しなくてはいけない、市の側も勧告についてとった対応措置を市民に公表しなければならない、という公表義務を双方に課している。市民にガラス張りにすることによって、オンブズマンの活動とこれに対する市の対応とを市民に対し全て見えるようにすることによって、双方の義務の履行を担保するという制度になっているわけである。

制定の経過については、レジュメに書いてあるが、その基本的な理念としては、あくまでも主権者は市民であるということ、これに奉仕するのが市の行政であるということ、そして市民が持っている疑問なり苦情というものをあまり複雑な手続とか費用とか日数をかけないで簡易迅速に処理できるようにするということ、処理した結果は速やかに勧告という形でこれを市に対してぶつけるということができるような、そういう基本的な理念でもって作られている。

オンブズマンの職務の内容としては、市政に対する市民の苦情の調査、簡易迅速な処理、苦情がなくてもオンブズマン自身の発意でもって職権で事実を取り上げて調査をする、市政の監視すなわち非違があった時には是正の措置を講ずるように勧告あるいは意見の表明をする、ということが権限の内容になっている。市民オンブズマンの組織としては、オンブズマンは3人で、そのうちの1人が代表になる。条例上、オンブズマンの選任は、人格高潔で、社会的信望が厚く、地方行政に対して優れた識見を有する者から選ぶという規定があるが、選任については議会の同意を要するということで、市長が独断で自分に都合のよい者を選任するということをチェックする方法をとっている。なお、オンブズマンの解任については、非違行為があった場合ということで解任理由は限定しているし、市議会の承認が必要という歯止めがかけられている。

私は先月いっぱいで6年の任期を終わって、現在はオンブズマンから外れているわけであるが、私がオンブズマンをしていた時には、元高裁の長官をしていた裁判官である私、大学教授1人、弁護士(この方は女性の方であるが)1人の計3人がチームを組んでやっていた。実際やっていて、「法律家でなくてはいけないのか」という点の疑問はあったが、やはりいろいろな苦情を聞いていると、法律的な素養があった方が処理がしやすい、理解がしやすいということがあるし、内容が法律にわたらなくても、いわゆる法的な思考方法というか、市民側とこれに対応する市の担当者側の双方の意見を聞く、市の担当者から意見を聞くと、さらにそれについて苦情を言ってきた市民にも又もう一度意見を聞くという双方のヒアリングをやって、それをやりながら自分の考え方を段々固めていく、そして、その調査の間には、今までなぜそういうやり方をとってきたかという経緯とか、あるいは条例や規則のいろいろな決まりはどうなっているか、よその類

 

 

 

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